ホモ・サピエンスの秘密?

  • 2017.08.21 Monday
  • 15:00

一月ほど前、店頭で目に留まり買った雑誌、インフォビジュアル研究所・著『図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密』(太田出版)、今回の投稿記事のタイトルは雑誌のタイトルそのままだ。編集者、グラフィックデザイナー、CGクリエーター数名から成るインフォビジュアル研究所の図解シリーズの一冊だ。

 

やはり、ホモ・サピエンスは気になるキーワードだ。昨年の12月は上野の「世界遺産 ラスコー展」に出かけた。異様に感じられるが、今世界中に増殖、拡散している人類は民族に関わりなくホモ・サピエンスという同一種に属するというのが定説だ。

 

ホモ・サピエンスは約20万年前アフリカに誕生し、約5万年前にアフリカを出て大陸間を移動(グレートジャーニー)した。日本列島にも4万年ほど前から移動が始まったと言われる。

 

 人類はいま、急激なグローバル化がもたらした歪みを正し、幸せを生む新たな社会システムを求めて、次のステージに進むべき時にきています。これから人類はどう生きるべきなのか? それを探るために、ホモ・サピエンスが、これまでたどってきた道のりを振り返り、その類まれなる進化の秘密を解き明かしてみましょう。

 

本誌の中の一説である。編集の主旨と考えられるが共感する。本誌は、〇笋燭舛呂匹海ら来たのか、から歓洋爐旅福とは、まで20のステップから構成されている。本誌はホモ・サピエンスが残った理由をその特殊な脳に置いている。ネアンデルタール人の脳は特異な分野に特化されているが、ホモ・サピエンスの脳は異なる領域のモジュールをつなぎ自在にネットワークする能力を獲得(「認知革命」)していたとするのである。

 

本誌で「認知革命」と称している概念は興味深い。ここから「ホモ・サピエンスは自分の生きる世界を自分の脳から創りだしてきた」というメッセージが出てくる。これこそがホモ・サピエンスの特徴だというわけだ。解剖学者・養老孟司氏の「人は脳が創りあげた環境の中に住んでいる」という言葉を思い出す。

 

じぶん流に解釈すれば、人間(ホモ・サピエンス)は古くからバーチャルな世界に生きていたということである。バーチャルな世界はコンピューター以前からあったのであり、このバーチャルな世界を構築しその中で生きることができるということがホモ・サピエンスの本質だと考えられるのである。本誌でも、言語、宗教、ヒエラルキー、貨幣経済、国家、帝国、数、法律、信用、資本、法人などを人間が創りだしたバーチャル・リアリティとしてあげている。

 

正に人間の生きている世界は自然と社会のコラボによるもので、数値化するのは困難であろうが、我々が思う以上にバーチャルな側面が大きいのである。これがIT化によりますます促進されるであろうことが予想される。また、このホモ・サピエンスの特質が幸福と不幸の始まりでもある。これは本誌のテーマでもあるようだ。

 

終わりのステップ20は「人類の幸福とは」がテーマであり、国連発表の「世界幸福度ランキング」(2017年度版)を紹介している。これによると日本は上位100の中で51位である。ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、南米、オーストラリアが上位を占めアジア地域は今一の成績だ。

 

本誌の解説では、” この調査は、「一人当たり国内総生産」「社会的支援」「健康寿命」「人生選択の自由」「寛大さ」「政府や企業の健全度」の6項目についての評価に、それ以外の要素を数値化して加え、各国の幸福度を表したもの ” となっていたのだが、ちょっと違和感を覚えた。

 

ネットで調べてみると、ウィキペディアでは、” この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である(データはギャラップ社によるもの)。報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している ” とあった。

 

本誌の解説では6項目の客観的なデータを基に算出したと読めるのだが、ウィキペディアの解説ではアンケートの主観的なデータが基になっていると説明されている。おそらく、ウィキペディアの方が正しいのだと思う。これは編集者の意図ではなく錯誤だと推測するが、意図的にやることができる事案でもあることも念頭に入れておく必要があるだろう。

 

解説に錯誤があるとは言え、日本人が全体として幸福感が希薄であるという事実は否定できない。本誌では、自殺率、孤独感、うつ病などのデータを参照にあげているが、学術的な因果関係にまでは触れていない。本誌は、いろんな学説、データなどから編纂されたものだ。一篇の物語としての面白さは充分評価できるが、その編纂作業の中で錯誤に陥る危険率の高さをも改めて認識した。

 

 

それにしても、上の幸福度ランキング別に色分けされた地図は何を意味するのだろうか。これは地域、国だけの問題なのか、或いはホモ・サピエンスという種が抱える秘密が現れた問題なのか。この四半世紀に向けて、人類の大きなテーマであることには間違いない。

 

関連投稿: 洞窟壁画を描いたクロマニヨン人 (2016/12/16)

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